メイド・フロム・マジョリティ

課題 予定ギッシリのカレンダー 曖昧な距離 安定と不安定の境 あらゆる期限 地元 明らかに合致しないあれやこれ ママ 自由であること 金銭 頭痛 4月  ミッション体質 体重 興味と関心 将来 理想 マウンティング 放課後 土日 声に出してしまったアレやコレ 全ての憂鬱

   ムキになって主張するほど自分自身に関心などないしこだわりもない。くだらない自我のせいで意図しない誤解を招くくらいなら扱える範囲の誤解をあえて用意して予防線を張った方が生きやすい。わたしのキャラクターは全て手作りだ。それでいい。「本当」の「わたし」などどうだっていい。何かを主張した後はいつも後悔する。把握しきれない齟齬が何より恐ろしい。わたしの知り得ないところで何か囁かれるのが怖くてたまらない。誰もわたしなどに興味がないなら、それでいい。嫌われるくらいなら知らないでいてほしい。肯定してもらえそうなところしか見せたくない。人に好かれたいんだよ。ずっとそう言ってんじゃんそのために生きてんだから。

   わたしの「キャラクター」。好きな色、服装、持ち物、一目でわかりやすく影響を与えられそうなものはとにかく「かわいいものが好きな女の子」にカテゴライズされるよう努めて選んできた。意図しないギャップなどカテゴライズに歪みを与える脅威でしかないと知っている。わかりやすくてつまらないキャラクターであるということは、その分キャラクターが与える周囲への影響も把握しやすい。

   ところでわたしのキャラクターは意図的に作られているが、これが嘘なのかと言えばそうではない。絶対的にわたし自身の自我の反映である。「普遍的でつまんない」代わりに「かわいいものが好きな女の子」という核からは外れない。個性などいらないし人と違うところなんて見出してもらわなくても十分だ。ここだけ、これだけわかってくれればそれでいい。

   ひたむきに自我を主張し続けるあの子に教えてあげたい。君の個性など誰も見つけてはくれないし、君が思ってるほど世界は驚きに満ちてはいない。今日も明日も淡々と過ぎて1日が死んでいく、ただそれだけ。君は特別じゃない。誰も君の魅力を、君が思ってるような形で見出してはくれない。そうしてその強すぎる主張のせいで君はヘンテコなカテゴライズに押し込められてしまう。

   わたしは、カテゴライズされることを受け入れて特別であることを諦めて、運営しやすいキャラクターを自分で作った。コントロールしやすいカテゴライズに誘導したほうがずっと楽だから。永遠に得られないたった一人からの100点を探し続けるより大衆からの50点のほうが手っ取り早くて素敵に思える。だって時間がないじゃない。

   君が諦めないと言うなら、それでいい。それがいい。君はきっといつか「特別」になる。痛々しくまっすぐに自我を主張し続ける君が、いつかちゃんと、報われますように。いつかその独特な魅力に100点が与えられますように。